戀愛物語
  
昨日の出来事で、みことは結局一睡もできないまま登校した。
頭痛を抱えながらの授業はさすがに堪えて、昼休みくらいは横にさせてもらおうと保健室に向かっていた。
もちろん教室で、遡羅に付き添って行くよと言われたが、大丈夫と押し切って来た。
さすがにここまで面倒を見てもらうわけにはいかないと思ったからだ。

足取りが更に重くなって来て、早く目的地に着こうと若干小走りになる。
階段を後一段で下りきろうとした瞬間、肩に強い衝撃が走った。

「あっ…!」

バランスを崩し、派手に転んでしまう。幸いにも階段から転げ落ちたわけではなかったので、その場に倒れる程度で済んだ。
しかし、段を踏み外したわけではなかったことを思い出し、みことは顔をふせたまま自分で立ち上がる。

背後からくすくすと複数の笑い声が聞こえて来た。
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