戀愛物語

倒れかかる街灯の落下地点にいた遡羅。

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片手で雑作無くそれを受け止めた。
ギギ、という金属音が静かなその場に響き渡る。

「駄目だよ、今は夜なんだから。こんなもの倒したりしたら、近所の人間が起きてしまうよ」

「黙れ…!!」

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街灯を手刀で壊した巡が顔を歪め、唇を噛んだ。
その表情を見て、遡羅は心の底から楽しいと感じた。

とてもいい顔を、この男はする。大嫌いな男の、唯一の気に入っているところでもあった。

本当に…この男の苦悩する姿は、いつ見ても心が躍る。
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