君が僕の名を呼ぶから

それから僕は色んな初めてを経験した。



「翼！」




「はい、何ですか？」




部活が終わって、後片付けをしていると、先輩が僕を呼んだ。




「あのさ、何か葉子が呼んできてくれって……。」



「葉子……？」




僕は聞き慣れないその名前に首をひねったけれど、



周りの人たちは全員知っているようなリアクションだった。




「知らないのか？葉子のこと。」




「はぁ……まぁ。」




「堀内葉子(ほりうちようこ)。翼の一つ上で、学校中のマドンナみたいな存在だよ。」




「はぁ……。でも、何で僕なんだろ？何の用事ですかね？」




僕は、間違いなく真希のことが好きだったし、接点が全くないそんな人に呼び出される理由がどうしても掴めなかった。




「まぁ、とりあえず行ってこいよ。体育館の裏にいるって行ってたから。」




「はぁ。」




僕は半信半疑のまま、体育館の裏に向かった。