君が僕の名を呼ぶから
「……あの知的障がいを持ってる子?」
彼女は悲しそうな表情を浮かべて、僕にそう尋ねてきた。
「……そうですけど。」
僕は、ひるむことなくそう答えた。
「……あの子とは無理じゃないかな?」
「えっ?」
僕は思わず聞き返した。
「あの子は確かにかわいいけど、普通の人とは違うよ。人を好きになる気持ちが分かるとは思えない。」
生まれて初めて、真希のことをよく知らない人間から罵られた瞬間だった。
「……百歩譲ってそうだとしても、僕は真希が好きです。その気持ちを偽ってまであなたと付き合おうとは思いません。僕は……僕の幸せは真希が隣で笑ってくれていることなんです。」
……少し太陽が傾き出していた。