偽りの温もり
「あ、雅也。
ヒデ、気持ち悪いんだって
トイレで吐かせてやって
私、先帰るね」

ここにいたら
また戻る。

あの時の気持ちが
戻ってくる。

「…グズッ…」

私は駅に向かって
歩き出した。

ヒデへの気持ちを
捨てるかのように
足早に…。

「リオッ!!」

走って向かってくる。

振り向いて分かった。

「雅也…なんで?」

「ヒデの事、本当は
忘れられないんだろ?」

そんな事言われたら
なお痛感する。
言わないでほしかった。

「もし俺が
言わなかったら
リオはずっと
引きずってたよ」

「…んなわけ、ない」

「もう、認めなよ。
俺が受け止める。
どんなリオでも
受け止めてみせる」

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