我が家の甘々執事サマ☆
海外旅行の楽しみを見出してからは家に帰ることも少なくなっていた。
父はそんな状況に自分の時間にゆとりはない中、一生懸命に私に構ってくれた。きっとさびしい思いをさせないようにしてくれたんだろう。
父は帰ることのない母を電話越しに諭していた光景もあったし、よくため息をついていた。使用人たちは口々に「縁を切ったほうがいい」と言っていた。
私に聞こえないところで言っていたのだろうが、夜中目が覚めるとその声が聞こえてきていた。それを聞くのが辛くて、知らないふりをして耐えることがきつかった。
そして、忘れもしない7歳のとき。
父が珍しく休みで、庭でサッカーをしているとき、ふと父は漏らした。
「ごめんな、ハルト」
「お父さま?」
ボールを手に持ち、私の目線に合わせるようにしゃがむ。
「お母さんいなくて、さみしいだろ」
ガシガシと頭をなでられ、顔を必死に泣かないようにこらえる。
「ううん、そんなことないです」