我が家の甘々執事サマ☆

あるんだよ、とさらに強くなでられる。

しかし、当時の私は母に会えても二ヶ月に一回というところで、そういう人なのだと思っていた。それよりも影でとやかく言われている父がつらそうなのが嫌だった。


「ハルトは、本当に好きになった人の、本当の姿を見て結婚するんだぞ」

「け、けっこん?」

「まだ早いかな」


ハハッと笑う父に抱きしめられる。あったかいけど、ちょっとくるしい。

「いたいよ、お父さま」

「ごめんごめん」

「お父さま」


ん?と顔を上げられる。やさしくて、おっきい父の姿。


「私は、大丈夫だよ」

「ハルト」

「うん、だから、サッカーしよ」


父は驚いた顔をしながら「すごいな」と言ってくれた。

後にも先にもなにもせずに褒めてくれたのは初めてだったので、よく覚えている。



< 233 / 239 >

この作品をシェア

pagetop