我が家の甘々執事サマ☆

「久しぶり結愛。大変だったわね…」


やっぱり…。甲高い声のお母様。今は確かニューヨークにいるはずだから国際電話だ。


「爺やに任せすぎたわね。別状なくて幸いだったけど、休ませてあげなくちゃね」

心底ほっとしているのだろう。息づかいがおだやかになる。


「ところで結愛、代理の執事だけど」


わたしは結んでいた口をひらく。一人でも大丈夫だ。


「お母様、わたし一人でもやっていけます」


爺やの代わりなんて要らない。大丈夫だから。


しかしお母様はわからず屋で身勝手な性格だったことを忘れていた。


「ダメ。あなた家事ダメじゃない。新しい執事すぐに手配するから」


···。

ぐうの音も出ない。確かにわたしは、家事がからきしできないのだ。


「歳は近い方がいいわね」


なにも言えないわたしは向こうからの独り言を聞くだけ。

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