雨音の記憶
雨音が更に強く俊介の部屋に響き渡った。

小雨だった雨が、今は豪雨と言っても良い位に強く成って居た。彼は夢の中で思い出していた。夏実の言葉を。

「雨音はお母さんの体内に居た時の音に良く似てるんですって…だから、雨音を聞くと人間は安心して眠ってしまうの…」

雨は降り続く。俊介が住む町の周辺だけでは無く日本全土に…いや、世界全体が雨に包まれる。そして、人類全てが眠りに着く。

地球は大きな揺り籠と成った。

雨は止まない。

それは自然が人間に対して行った最後の抵抗かも知れない。
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