雨音の記憶
「あたしの…」
「ん?」
「あたしの一番昔の記憶って、多分2歳頃の記憶だと思うの」
「2歳?そんな昔の事?」
「うん、そう。何かおもちゃの紐を引きながら公園みたいな処を一人で歩いてて、そこから外に出そうになった処で、お母さんに抱き上げられた」
「2歳で、そんな事の記憶が有るのかい?」
「うん、私もそう思ってたんだけど、ちょっと前に、そんな事が有ったって、お母さんから聞いて、記憶と証言が一致したから、私の記憶は事実なんだろうなって思うの」
「成程ね。俺の一番古い記憶って何だろう…う、ん…小学校に上がる少し前くらいだったかな」
「へぇ、どんな記憶?」
「うん、多分、運動会か何かの会場だと思うんだけど、そこで、何故だか分からないけど癇癪起こして、地面に敷いてあった薄いビニールの敷物を、意味も無くびりびり破いてるっていう記憶なんだけど」

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