雨音の記憶

第2節 記憶

俊介は夏実と別れると、自分のアパートに戻り、ミニコンポの電源を入れてAMラジオをBGMに招待客のリストにもう一度目を通して、漏れが無いか今一度確認した。

俊介と夏実は、今年の夏に結婚する予定だ。それに向けて、2人共、連日大忙しの日々を過ごして居た。

ただ、今日は、ぽっかりと雑務から解放された一日だったので、たまには少し休もうと、2人は近くのファミレスで昼食を共にしただけで、そのまま別れたのだった。天気も生憎の小雨模様で、出掛けるのも雑用をこなすのも億劫な日に成ってしまったので、丁度良い水入りの一日だった。

俊介は、部屋の窓から小雨模様の外を何気なく見ると、小さく呟いた。

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