【B】君の魔法




さぁ……
最後の仕上げをしないと……。











あの日の……
小さな僕を
助け出すために……。








着替えを済ませて
もう一度、
彼女の眠る部屋へと戻る。





ベッドの上、
先ほどまで眠っていた
彼女の姿はなく、
シャワールームを使っているのか
水が流れる音が聞こえた。








ソファーに
座っていると
シャワールームの扉が
やがて開いて
彼女がバスローブに身を包んで
ゆっくりと出てくる。





「……武流……」

「おはよう、尊子」

「えぇ。
 おはよう。
 シャワー頂いたわね」

「構わないよ。
 好きに使ってくれたら」

「どうしてたの?」





彼女は当然のように
俺の行動を
確認しようとする。




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