【B】君の魔法
16.眠れぬ夜 -武流-
『えぇ。
武流さん……
貴方も、
柳さんとお幸せに……』
静香の退社後、
尊子が俺の秘書として
一緒に行動することが
度々あった。
その時間を
祈るように
待ち続けた日。
時折、再会したばかりの頃の
楽しいひと時を錯覚しながら
二人だけの時間を楽しむ。
先方と商談中、
彼女は俺の電話を預かったまま
PCを開いて待ち続ける。
二人で
毎日過ごしていた時間よりも
このビジネスで出会う
一日のほうが
密な時間だと……
身を持って知った。
「武流。
招待状の発送準備は出来てる?」
ノックもせずに
俺の書斎に入ってくる静香。