王子様の溺愛カメラマン
「う、あっ、おはよ!!」


気恥ずかしい気持ちを隠すようにいつもより明るく大きな声が出てしまった。


だけどそんな私とは対称的に、日向くんはいつもよりむしろテンションが低い感じで


「ん…はよ」


ただそれだけ答えると、向かいの席でハムエッグのトーストを静かにかじった。


あ、あれ?

日向くん?


なんだかいつもより大人しい日向くんの様子に私は面食らってしまう。


「どうしたの?調子悪い?」


「え?別に?」


「ほ、ほんと?」


「おぅ」


日向くんはそれだけ答えると、そのまま私から視線を反らし


黙々とトーストを食べだした。










家をでると途中まで日向くんと一緒に登校した。


登校中もなんだか私ばかり喋ってた。


いつも元気な日向くんはやっぱりまだ無口で…


私の言葉にも『おー』とか『あ~』とかの生ぬるい返事ばかり。


おまけに全然こっちを見てくれなくて…


眠たそうにぼーっとしたり、ぼんやりと時折空を見たりしていた。





なんで?

どうしたんだろう…?


日向くんの態度に私の心はすっかり不安に染まっていた。



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