王子様の溺愛カメラマン
キラキラと輝くダンスホールで流れる演奏と歌に合わせて先輩が私をリードする。




社交界の経験がある先輩はさすがにダンスもリードもうまかった。



ゆったりした旋律に合わせて、私の手を取りながら

もう片方の先輩の腕が私の腰に回る。


先輩がグッと腕に力を込めると私達の距離もグッと近くなった。





「エマちゃん…」



頬と頬が触れ合う距離で先輩の声が私の耳をかすめた。


う……


先輩の息が耳にかかり反射的に鳥肌がたった。




「君の為に曲を作ったんだ」


「……え?」



先輩はスッと顔を離すとそのままダンスをリードしながら足を進めた。



え?

ふ、冬島先輩!?


少し強引なステップに戸惑いつつ…


踊りながら辿り着いた場所はグランドピアノの前だった。


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