王子様の溺愛カメラマン










羽田空港から
愛車の原付で自宅に向かう。


高2の夏休みの終わり。


大きな荷物は先に送ったから、今あるのは最小限の荷物とカメラだけ。


夏の夜風を全身に浴びながら、俺はこの夏を振り返っていた。



この夏は充実してた。



夏休みに入ってすぐ念願だった原付を先輩から格安で譲り受けたり。


その直後から俺は海外へ飛んでいた。


ひとりで海外へ行くのは中学生になってからで、もう数回目。


バイトを重ねて、金が貯まれば格安航空で飛ぶ繰り返し。


今回はオーストラリア。


カメラがあれば別に国内でもいいんだけど…


俺は世界中の風景を見たい。


撮りたい。


だから夏休みギリギリいっぱい、向こうで過ごした。


明日からはまた学校。


学校は普通に楽しいし、友達と騒ぐのも好き。


だけど刺激が足りないっていうか…

一度きりの人生だから俺はもっと走りたい。


なんか残したい。

伝えたい。


生ぬるくただ生きて、
自分が死ぬ時に後悔とかしたくねー。


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