王子様の溺愛カメラマン
「エマ、日向くん呼んできて~」
小6の夏休み
夕暮れのキャンプ場で暇をもてあましていた私に
夕食のカレーのお玉を手にしたママが言った。
「え~?なんで私が」
「お兄ちゃんたちはパパと買い出し中だもん。エマは暇でしょ?」
ママの言葉に口を尖らせながら私はママ達を見た。
「日向くんどこにいるの~?」
「ごめんね~、そんな遠くには行ってないと思うんだけど」
ママと一緒にカレーを作っていた日向くんのオバサンは苦笑いで私に謝る。
私は仕方なく組み立て式のテントから出ると
サンダルをはいて日向くんを探しに向かった。
『日向くん』というのは、一緒にキャンプへ来てる水梨さんちの長男。
『水梨さん』とはパパの昔からの友人で、毎年一緒にキャンプに来るほど仲が良いらしい。
子供同士はそんなに接点ないんだけどね。