王子様の溺愛カメラマン
「どう?ちょっと濃いかな?」


「…………」





ママの味に…優しいぬくもりにまた涙腺がゆるみだす。


ぽろぽろ…



「肉じゃがの塩加減ダメだったかしら、エマ?」


ママは優しく微笑みながら、エプロンの裾で私の涙を拭ってくれた。


「うぅ……」


私は泣きながら首を左右に振る…



「ママ……私と日向くん…もぉ…だめかもしれない…」


「え?」


「日向くん……撮影で一年ぐらい…居なくなるって…」


「…………」






何より悲しかったのは、
会えなくなることじゃない。


日向くんに迷いがなかったこと。


私と離れることを少しでも寂しく思ってくれていたら…


迷ってくれていたら…


私だって応援出来たかもしれないのに。





こんなんじゃ……

付き合えて嬉しかったのは…


もっと会いたいと思ってたのは私だけみたいじゃんか。





「うぅ…ひっ…うぇ~ん」


「あらあら…」


キッチンで子供みたいに泣き出す私にママは困った顔をした。


そしてママは私の背中をさすりながらソファーに連れて行ってくれた。




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