王子様の溺愛カメラマン

夕方になり、ようやくリビングに降りるとママが夕飯の支度をしていた。




コトコト…

トントン…


ママの背中とキッチンから聴こえてくる音は不思議と心を癒してくれる。


いい匂い……






「ママ…今日のご飯なにぃ？」


甘えるようにキッチンに立つママの隣に行くと肉じゃがが見えた。


肉じゃがはママの得意料理のひとつなんだ。






「丁度いいわ。エマ、味見してくれない？」


ママはお玉で小皿に肉じゃがを取ると私に差し出してくれた。


「熱いから気をつけなさいね」


泣き腫らした顔については何も触れないママ。


今日がデートだって知ってるはずなのに…





ママの肉じゃがを口に入れるとじゃがいものホクホクした味がした。