王子様の溺愛カメラマン
しかし日向くんは私の心配をよそに、本当に飛んでしまった。




「きゃあぁぁ――!」


ドサッ!

日向くんは猫のように部屋に飛び込むと、そのままの勢いで床の上に転がった。



「へ…へへ…着陸できた」


ホッとしたように笑う日向くんに、私は顔を青くしたまま口をパクパクさせた。


「な…なにしにきたの…?」


上半身を起こした日向くんは、窓辺に突っ立ったままの私を見上げた。



「わかんねー?こういうシチュエーションは夜這いに決まってんだろ」


「…え?」


「よ ば い。エマを襲いにきた」


「…は?」





よ ば い?




日向くんの言葉に、私の青い顔はボンッと音をたてて一気に赤くなった。



< 56 / 335 >

この作品をシェア

pagetop