王子様の溺愛カメラマン
結局そのまま流れるように、本当に風呂まで借りてしまった俺。


風呂を上がると脱衣場には綺麗にたたまれたパジャマが置いてあった。



……え?

俺の制服は一体どこへ…。



確かに脱いでここに置いたはずなのに。



素っ裸で出るわけにもいかず、とりあえず俺はパジャマを着た。



ガラ…

脱衣場の扉をあけると目の前にエマ兄が立っていた。


「わっ!」


エマ兄は驚く俺をみてまたフッと笑った。



「お…お先に風呂頂きました…」


「構わん」



エマ兄は黒髪がかかる切れ長の冷たい瞳で俺を見た。




「住居侵入罪で訴えてやろうか?」


「………え?」


「この家に防犯システムがついていないとでも?」


「!」


慌てる俺の顔を見てエマ兄はまたニヤリと笑った。


「感謝しろよ?昨日は俺が止めてやったんだ」


「あ……ありが」



しかし


エマ兄は俺がお礼を言いきる前にスッと俺を横切り

そのままパタンと風呂場へ消えて行った。





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