わたしの生きる道
いろいろ話し込んでいたせいか、夕方になっていた。

なので同じ駅ビルの中の本屋に行くことにした。

まずは新刊として、母の本だ。

この本屋は新刊で、そこそこ人気がある本ならば、目立つ所に平置きしてくれる。

新刊売り場に行くと、おっ、あった。

「あっ、菜雪さんだ」

ミホが嬉しそうに小声で言った。

本の表紙はエプロンをして、アップルパイを乗せた皿を両手で持って、ニッコリ微笑んでいる母の姿がある。

「これで三人の子持ちには見えないわよね」

「それ、本人の前では言わないでね。コンプレックスに感じているみたいだから」

わたしはケータイ電話を取り出し、母の本を写真に撮った。
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