仮病に口止め料
周りから羨ましがられている感覚が(かなり)心地良い俺は、
(かなり)性格が悪いと分かっているも、やっぱりこの半年は人生で一番幸せだった。
朝髪型を適当にととのえることも腹筋の回数を増やすことも、
好きではない野菜を食べることも何気ないことすべてが彼女に繋がるなんて素晴らしい奇跡だ。
――といった具合に、たかが数ヶ月の関係でありながら、
まるでオレたちには運命に導かれた壮絶な歴史があるかのごとく、物事を恋愛に絡めまくり進めるのがもっぱらマイブームなだけで、
本当の本当は冷血で可愛いげがない洋平サンの本心は隠しておく。
さあ、ハートを口笛で飾れば青いママチャリがコンビニの角に見えた時、それが甘い国へ誘う合図となってしまった。