仮病に口止め料


「……。」

パソコンのペイントにある曲線をクリックして、まず直線を引くところをイメージしてみよう。

約六センチのライン、中心より左にマウスを置いて気持ち上にドラッグしたなら、

うにょっと曲がった線ができるはずだ。

それを貼付けたような歪んだ唇で無言の不満を訴えてくるのは、

何事にも寛大な心を持っているはずの大好きな俺の女神様。


どうやらご機嫌斜めみたいだ。
どうやらご立腹みたいだ。


階段にあるお弁当バックが仲良しカップルのピクニックタイムを待っている。

取っ手に夏祭りの露店で買ったお揃いの星型チャームがついている点には、大人ならば触れてはならない。

幸せは妄想の恩恵、不幸せは構ってちゃんの賜物、平凡は怠惰の結果、そんなニュアンスが相応しいお花畑の国で大恋愛をしたいと願いたがる今が百億万円の宝物だ。

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