仮病に口止め料
学生らしい恋愛ができる時間をしっかり記録したい俺だから、
見知らぬ他人に感謝をしつつ事故らないようにと祈り見送って、今のニヤケ面に至る。
だって、彼女と自分が並んでいるだけで恋人だと周りに認められている事実が嬉しいし、
明るい(時に迷惑行為に値するであろう)彼らの発言に隣の子が顔を真っ赤にさせ照れていたから、
もうお察しの通り、単純な男子高生はルンルン歓喜しちゃっている訳だ。
「ちゃんと肩から手ぇ動かすー!」
熱血な先生はマイクパフォーマンスを嫌うのか、アーティスティックにありのままの声を皆に届けたいのか、
喉を潰せどお構いなしに指示を出す。
それもまた学生とは違う大人のポリシーなのだろう、俺の守備範囲ではないから知ったこっちゃない。