forget-me-not






「先輩、プレゼントがあるんです」


にやにやと、企みを秘めた可愛らしい笑みをはりつけて、新戸くんはある日私にそう言った。




『なに?誕生日ならまだだけど…』

「ちがいますよ。ほら、この前の本にのってなかったアレについてです」

『…あぁ!え……まさか、みつけたの?』


超常現象ヲタク、とまでリカにからかわれても、それでも探すのを諦めなかった成果がいまここに、やっとでてきたのか?

そんな高ぶる胸の内を深呼吸で押さえつけながら、まじまじと新戸くんの顔をみつめた。

と、



「…そ、そんなに見つめないでください」



あろうことか、頬を染めて照れだす新戸くん。

私は苦笑を噛み殺し、無理やりに意地の悪い笑顔を作った。

この前あんな大胆なことをしておいて、照れる、だと?という心境である。まったく、小悪魔女子ならともかく小悪魔男子、なんて聞いたこともない。

案外ぜんぶ計算の内にやっているんじゃないだろうか……と、彼への疑惑が膨らんでいく。










< 191 / 275 >

この作品をシェア

pagetop