forget-me-not
「―――黒川、夜!」
「だったと思うわ。莉子さんが落とせなかった美少年なんて超レア者ー」
挑戦的な眼差しで私に笑いかけるリカは、確実に狙っているのだろう。
黒川、夜を――。
(…同姓同名?)
まさか、そんな…有り得ない。
美少年、名前、それだけで当てはまると、言えるだろうか。
『リカ、その人見たことあるの?』
「んん、ない。でもその内見つける」
口紅を塗り直しながら、悪戯な瞳を煌めかせたリカ。
上機嫌に口許があがっている。
(…偶然?)
あの黒川 夜なんだとしたら、正に美少年と言うに相応しい。リカもさぞ、気に入るだろう。
だけどあの異常なまでに蒼い瞳、対峙するこちらが立ち竦む圧倒的な、オーラ。
結果フられたのだとしても、彼に告白するなど、それだけでかなり尊敬に値すると思う。
そんな、男の子だった。
(…苦手)
でも、何故か
「…ねぇ、リカ」
『んー?』
「見つけたら、会わせて?」
―――興味がある