forget-me-not
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昨日の黒川夜の言葉が忘れられなくて、お昼に間に合うように家をでて病院に向かった。
『…ふぅ、』
枯れ葉の舞う病院の入り口に立つと、覚悟を決めて拳を握る。
(…リカは眠ってるかな)
(…それとも、本当に病気は治って)
いやいや。どんな結果だったとしても私がめげてちゃいけない。
昨日は家に帰ったあと、そんなことばかり考えていた。
絶望の淵を救ってくれたリカ――今度はその彼女を、私が救ってあげる番なんだと。
(…笑顔、笑顔)
そのためには、私がへこたれて泣いてちゃいけない。
『…よし!』
黒川夜の言葉はひとまず、頭の中から払拭して病室へ向かって歩き出した。