もう会えない君。


隼はいつだって私を最優先に考えてくれてた。
…なのに私が隼を最優先に考えてあげられてなかった。


だから隼が悪いんじゃない。
本当に悪いのは私なのに隼は私を叱ったりしなかった。


それは優しさとはまた別のものなんだと思う。
“思いやり”という名の感情なのかもしれない。


こうして抱き締めてくれる隼は本当に優しい。
それにこうやって慰めてくれる隼が私は大好き。
絶対に失いたくない、隼の中で一番で居続けたい。


そう願う事はおかしい事ですか?


もし、おかしいというのなら…私はおかしいと言われても構わない。
だって隼を好きだからこそ、愛してるからこそ、失いたくないと思ってしまうんだもん。


隼の笑顔も声も言葉も全てが好き。
私は隼の全てが誰よりも好き、大好き。


だけどね?
隼には口で言う事はしないの。
心の中でずっと言ってるの…。
恥ずかしいからっていうのもあるけど、きっと口にしなくても伝わってると思うから。


優しさって誰にでも備わってるものだと思う。
でも優しさの基準は人それぞれで多様多種存在するわけで…。


隼の生まれ持った優しさと私の生まれ持った優しさは違う。
悠と私の優しさの基準も違ければ、隼と悠の基準も違うわけだ。


それが人間の原理なのかもしれない。
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