秘密のMelo♪y④*ウィーン編㊦*
「はっ。僭越ながら……わたくしのほうで決めさせていただきました。九月の十五日にございます。ウィーンで最も広い会場が空いていますのは、この半年でもその日だけだそうで…」
「九月の…。今って何月何日?」
くるっと振り返ってしゅっちゃんに聞いてみた。
「えっとー…七月二十七日やね」
あと一ヶ月とちょっとか。
……え、それ大丈夫なのあたし…?
「だ、大丈夫なの…?」
思わずかっくんに伺いを立ててしまった。
だって…ねえ? 不安じゃん。
「余裕だな」
「ほんと?」
「ああ。毎日やってれば」
わお! 辛口のかっくんがそう言うんなら間違いないっ。
いやあよかったよかった。なっはっはっ。
「“藤峰真裕”ってさ…“星野楓”を唯一上回る天才じゃなかった…?」
「真緒ちゃんには自分の才能に対する自覚がないからね」
「楓に絶対的信頼をおいとるしなぁ」
「でも楓言ってたじゃないの。『俺があいつに教えることなんかねぇ』…って」
「勘が戻ればその通りだろうね。自分ですいすいいっちゃうと思うよ」
「なにこそこそしてんの?」
「ああ、別に❤それより真緒、今日も練習するんでしょ?」
「え? うん」
当たり前だよ。
しばらく、レッスン室とはお友達状態だね。
毎日通わなくっちゃ。
「学校が夏休みに入ってよかったー」
あ…でも今日からケインのレッスンは復活だっけ。