SPIRAL GAME
知力ゲーム

狂気



キーンコーン…

高いチャイム音が校舎内にこだまする。
日も高く登り今はお昼時だ。
登校時から元気のない和音に気を使う秋は自ら和音から離れ璃亞や美華に様子を見てもらっていた。

ぼんやり空を眺めていた和音の前に数人の女子生徒がやって来た。
見ると友蘭のメンバー達だった。
彼女たちは昨夜のコトのお礼に来たらしい。
皆で作ったというお菓子を和音に渡しそそくさと早足でその場を後にした。

袋を開けてみると中には可愛らしい動物型のクッキーが沢山入っていた。
微かな喜びに和音は漸く口元を持ち上げる。
不格好な物からきちんとした物まで様々だったが味に違いはなかったのでパクパクと食べ進めていた。
お昼を食べていない和音にとってお腹の足しになったのは確かだった。


「和音ちゃん」


呼ばれたことに気付いた和音は後ろを振り返る。
振り返った目の前には空色の瞳と金色の髪がドアップに現れた。
それが麗だと気付くまで数秒間、和音は彼を凝視してしまった。
麗の後ろに立っている蓮は呆れた顔をして右手の人差し指と親指で右耳のピアスを弄っている。
片目を瞑りため息を吐いた蓮は和音に声をかけた。


「大丈夫…? てか どうしてここにいるの?」
「……へ?」
「今ね五時限目だよ? 蓮と俺はサボりだけど」


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