SPIRAL GAME


二人から知らされた事実に和音は座っていたベンチから勢いよく立ち上がる。
だが、麗に肩を下に押され元の体型に戻されてしまった。
抵抗することもなく大人しくベンチに座り直す和音の首に蓮の腕が絡み付いてきた。
驚きに肩を大きく揺らした和音の耳に生温かい何かが這いだした。
更に悲鳴を上げそうになった唇に柔らかいモノが押し当てられた。
目の前には麗のドアップ。


「…っ!?」


微かに開いた麗の瞳と視線が混じり合う。
綺麗な瞳に見とれていると口内に温かく滑る何かが入り込んできた。
今までに無い驚きと緊張感のせいで和音はその何かを噛んでしまった。

―ガリッ


「いっ!」
「麗? 噛まれたの?」
「!? !?」


和音は周りを見渡した。
双子が言っていたコトは信実らしく辺りにはひとっこ一人見当たらなかった。
小さく安堵した和音の口内になんとも言えない鉄の味が広がった。

和音が舌を出すと麗も舌を出した。
それは赤く腫れていて血を滲ませていた。
そこで漸く麗にキスされたのだと分かった和音は頬を真っ赤に染め上げる。
口の中に入ってきたのは麗の舌だったことに更に恥ずかしくなり下を向いてしまった。

途端 耳にまた違和感を感じた。
確認するため手を耳に持っていこうとしたが背後に立っている蓮にその手を掴まれ動きを止められてしまった。


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