パラレルライン



「なんでそんな笑うんだよ!お前機嫌悪いんじゃなかったのか!?」

「悪かったよ?でも…龍太郎可笑しいんだもん…あはは」


あたしの笑いのツボは曲者らしく、
一度はまったらなかなか抜け出せない。


「あはは、メールもさ…家の前にいるからって…メリーさんかっての!」

「しゃーねえだろ!」

「あはは……………」


ひととおり笑いが治まると、ふたりの間に沈黙が流れた。


夏の終わり、秋が近づく夜。

微かに虫の鳴き声が聞こえる。



黙り込むあたしに今度は龍太郎が微笑んだ。





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