サクラの季節
「...今まで有難う。楽しかった」

軽くウィンクをして、公園から走って出る。
後ろで何か彼が叫んでいたけど聞こえない振り。

ある程度走った所で、立ち止まる。
...すると、

「...っふぇ、ぁ...」

ぼろ、ぼろぼろ、と、透明な水の粒が、目から零れ落ちて、私の頬を濡らす。

―――私は、愛してもらえない。
―――そんなのなら、私は誰も愛さない!
―――もう、傷付きたくないから。

ブレザーの裾で頬を拭い、涙をふく。
そして顔を上げ家路へと着いた。

...早く、家に帰ってテレビでも見よう。
あぁ、宿題もしなきゃ。
やる事がいっぱいあれば忘れられるかな。

...再び涙が出そうになったから、私は考えるのをやめて、好きな歌を口ずさんだ。
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