何千年の夏休み


樹月の手を握り温もりを感じ生きている事を確認する。脳死状態と一緒だ…成長はするものの目は覚まさない。


これでも慣れてきたほうだ…


初めの私は樹月を揺すったりして泣き喚きながら何度も名前を呼んだっけな…。



「………はぁ…」


小さく溜息を漏らすとすっかりオレンジ色に染まっている部屋を見渡す。


…また今日も一日が終わる…



「…夕…。」


その声と共に私を覆うように影が伸びた。


振り返って相手を見る。


「…お兄さん。」


「…そろそろ帰るよ、村長さんが待ってるんだ。」


説教の長いのが特徴で、この村最年長のお爺さんだ。


説教の長い事から皆からは説教爺って呼ばれてたりする。


夏休みなんかは学校とは関係なく夏期講習なんて勝手に作ったりして、村中の子供を呼んでは神社にある一部屋の間で勉強会をする。


この村は人口が少なくて200人居るか居ないかだから、皆顔見知りで仲がいい。



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