ゆめ
「亜紗子もねぇ、こんなとこで油売ってないで早く孫見せてよ!翔くん、何かこの子たち夫婦にスタミナつくものない?」
「もうやめて…!」
私はたまらずに飛び出した。
「亜紗子っ…孫いないのうちだけなんだからね!」
「おばちゃん!」
…つらくなるといつも隠れていた裏庭。
久しぶりにそこでひとり泣きじゃくった。
涙でぼんやりだったけど…
ふと、ピンク色が目に映った。
近づいて、よく見ると…
それは、私がゆめの髪につけたリボンだった。
周りには、小石がランダムに並べてあった。
「何これ…?お花…のつもり?ふっ…」
ゆめはこんなところでも遊んだようだ。
ゆめは…確かにここに居たんだ。
「亜紗子!」
「健太…どうしたの?」
帰り道をとぼとぼ歩いていると、前から健太がやってきた。
健太は会社を早退し、今までゆめを捜し回っていたという…。