ナルシー少年☆蛍斗くん


兄ちゃんが"パンパン"と両手を鳴らして優しく微笑む。

まるで"もうこの話は終わり"って感じに。



ずっと私達の話に耳を傾けていたけれど、口を出すことはなかった。

兄ちゃんなりの配慮なのかもしれない。




「せっかく来たんだから俺の出店も見ていってよ。」


重い空気を一掃するかのように言い放った。



「おっ、そうだな。兄ちゃん何やってんだよ。」

明るい声を出して兄ちゃんに駆け寄る。


私も暗い気持ちで近寄った。


二人に嘘ついちゃったんだもん。

とんでもない嘘。



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