ナルシー少年☆蛍斗くん

ナルシストな奴




じぃ〜〜・・・。


「ヤバくね?・・・。おい!!見てみろよ、タヌキ。今日もイケてるだろ?」


鏡を見たまま奴は話しかけてきた。
名は月山蛍斗(ツキヤマケイト)。
幼なじみのナルシスト野郎だ。

毎日のようにやって来ては部屋にある姿見で自分の顔を拝んでいる暇人だ。


「はぁ・・・」


そして私はタヌキ・・・。
ではなく、滝沢矢恵(タキザワヤエ)。
幼なじみに生まれたせいで、奴のお守りを任された可哀相な人なんだ。

毎日のように"俺がいかにカッコイイか"説を聞かされうんざりしてる。

ちなみにタヌキは奴が命名した、センスのカケラもないあだ名。



「おい!!聞いてんのかよ。」

「・・・・・・。」

「どうだ!!」

「・・・・・・。」

「そんな態度だと後で後悔するぞ!!」


期待の入り混じった目で見てきたが、無視を決め込むとそっぽを向いた。
多分認めてもらいたいのだろう。

日々、私にウザがらみしてくる。

周りに散々甘やかされて育った蛍斗は、基本俺様で質が悪い。
私だけが厳しいものだから尚更しつこく構ってくるのだ。

まぁ、私が一言”かっこいい”って言ったら一時は大人しくなるんだと分かっているがプライドがそれを許さない。


うっかりカッコイイなんて言おうものなら、俺の事好きなんだろ~って自意識過剰なウザい発言のパレードになるに違いないのだから。

それだけは避けたい。

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