心詩 ー モウイチド、モドレルノナラ ー

始まるモノ




抜けるような青空に映える満開の桜の木。
私達を祝うように照るお日様と暖かい空気。

私達が中学生としてのスタートをきるのにはこれ以上ないくらいの絶好の日。



なのに。


「ちょっと雅!!いつまで寝てんの!?」

「……んー…」

「入学式!遅れるよ!?」

「………休む」

「あ゙!?」

「………起きるから」


そう言って、目をこすりながらもぞもぞと起き出す雅。

ほんっと朝弱すぎ。


身体半分起こして、まだボーっとしている雅に私は顔を近づける。


「なに寝ぼけてんの」

「……永遠…」

「なに?」

「ちゅーして」

「………」

「してくれたら、起きる」


…こんっの自信過剰王子が。


「寝言は寝てから言えっ!!!!!」


私は思いっきりベッドから雅を引きずりおろす。


――ガタンッ――


……………。


大きな音を立てて落ちたにもかかわらず、顔を伏せたまんまで何の反応をも示さない雅。


「………みや」


び?と私は顔を覗き込もうとした。

すると、バッと雅が顔を上げ、その瞬間ほっぺたに柔らかい感触が伝わる。


「―――――!」


慌てて離れようとする私を雅はさらに力を込めて、抑え込む。


「おはよ、永遠」


間近でそう囁かれて、一気に熱が顔に集まったのが分かった。


「……顔真っ赤」


ニヤリと笑う雅を、嬉し恥ずかしでもうまともに顔を見れない。


なんなのコイツ。

私を死なせたいの?マジで。



< 18 / 73 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop