心詩 ー モウイチド、モドレルノナラ ー
電話を終えたお母さんは、少し慌てた様子で身支度を始めた。
なんだったの?
聞こうにも聞けるような感じじゃなくて。
『学校に行ってくる』
大人しく寝ててね。そう言って家を出て行ったお母さんの後ろ姿を見送ることしか出来なかった。
……それから少しして。
泣いている雅とお母さんは帰ってきた。
雅は私の姿を見たとたん、ランドセルも下ろさず、ぎゅーっと私に抱きついてきた。
涙を流しながら、そりゃもう痛いくらいに。
驚いたのは、それを止めないお母さんにと震えてる雅に。
……でもその訳は、なんなく分かったんだ。
だって、私も同じだったから。
雅と、同じ気持ちだったから。
一時の間そうしていた後、雅は一回離れてランドセルを下ろし、それから今度は私の眠っている布団に入り、熱のせいで熱い私を優しく抱きしめながら、学校であったことを話してくれたんだ。