心詩 ー モウイチド、モドレルノナラ ー
我に返ったときには、笑った奴等が倒れていて、目の端には真っ青な顔の担任と冷静な顔をした琉憂兄ちゃんがいて。
教室を見渡せば、嵐が去った後の様な惨状だった。
…罪悪感なんて、どこにもない。
からかったこいつらが悪いんだ。
ただただ僕は、永遠にそばにいてほしくて、永遠が見えるところにいないと不安で仕方なかった。
永遠がいないと、こいつらの言葉に溺れそうになるから……。
『―――雅』
穏やかな声色で、琉憂兄ちゃんが僕を呼ぶ。
この声には、永遠と違ったぬくもりがあるんだ。
………ポタポタと涙が溢れ出す。
『…永遠……永遠に会いたい…………』
顔を覆いながら、膝から崩れ落ちる。
今の気持ちは、ただその一言だけだった。
すると琉憂兄ちゃんは担任の方を向いて口を開いた。
『おれの家に電話して、母親を呼んでください。雅は、早退させます。いいですよね?』
『……そうね。お家で、ゆっくり休みなさい』
琉憂兄ちゃんに頷いた後、担任はこっちを向いてそう言った。
…たとえこれがただの厄介払いであろうと、僕はこの時ほど担任に感謝したことはない。