心詩 ー モウイチド、モドレルノナラ ー






家に帰っても、もちろん誰もいない。


だってまだ世間はお昼前。

けれどあたしの心の中は真夜中みたいに真っ暗で。


さっさと自分の部屋に駆け込んで、なんとなく開いていたカーテンを閉めて、その場にへたり込んだ。



明日から雅とどう接しようとか、聡い深紅にバレたとき、この事をどう説明しようとか、頭の中をいろんなことがぐるんぐるんかけめぐる。


「雅……」


こうやって、辛いこと不安なことがあったときは、いつも雅がそばにいてくれた。もちろん深紅も。

けど、今回はたった1人。


…だって言えるわけがないから。

あの女のこと。


「…大丈夫だよね……?」


あたしも雅も。

離れないよね?



さっきから着信の合図の緑色のランプがチカチカしてる携帯を見つめながら、あたしはずっと声を出さずに泣いていた。







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