【短編集】闇に潜む影


イライラは、どんどんどんどん私の中で膨れ上がっていく。


目の前の小さな顔が、それに比例するように、憎らしく見えてくる。







「ちゃんと聞いてんの!?」


力任せに小さな顔を、反対側の手で叩いた。


ぴしゃり、と音がする。


少々青黒かったその頬が、その上に重なるように、今度は赤くなっていた。


何故青黒いのか、私は知らない。


そんなことに、興味は無い。







「それ」は絶対に泣かない。


私にたたかれている間、目を瞑っている。


・・・だから、ますます頭にくる。


さも、「私は分かっている」かのような顔をして、私を見下しているようだった。




< 40 / 171 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop