【短編集】闇に潜む影
イライラは、どんどんどんどん私の中で膨れ上がっていく。
目の前の小さな顔が、それに比例するように、憎らしく見えてくる。
「ちゃんと聞いてんの!?」
力任せに小さな顔を、反対側の手で叩いた。
ぴしゃり、と音がする。
少々青黒かったその頬が、その上に重なるように、今度は赤くなっていた。
何故青黒いのか、私は知らない。
そんなことに、興味は無い。
「それ」は絶対に泣かない。
私にたたかれている間、目を瞑っている。
・・・だから、ますます頭にくる。
さも、「私は分かっている」かのような顔をして、私を見下しているようだった。