【短編集】闇に潜む影
痩せ細った「それ」の体は、
操り糸の切れたマリオネットのように、だらりとなっていた。
「いいかい、今度やったら承知しないからね!」
放り投げるように「それ」を床に落とした。
思った以上に軽い音がする。
「返事は!?」
仰向けに倒れた、力の抜けた「それ」の腹の上に足を乗せた。
それは力なく頷くだけだった。
もう少し叩こうか。
一瞬そうは思ったけど、私の心は自由で満たされ、心も体も軽かった。
一時的なものだけど、今はそれに満足だった。
私はうつろな目をする感情の見えない「それ」を鼻で笑って、
そのまま風呂場へと向かった。
汚れた体を、綺麗にするために。
だけど、この満足感は長くは続かない。
体が軽くても、あと1時間もすれば重くなっていく。
だから、私は求め続ける。
まるで、クスリの切れた中毒患者のように。