涙のあしあと。





「いつもプリントありがとう」




「いえ。」



と言って私はほほえむ。





小百と私は企画会議に必ず参加するので 若い男性社員はすこし気が浮いてたりもする。





ここで その男性社員がかっこよかったりでもしたら 先輩たちになんか言われると思うけど……




……私たちはまだ嫌がらせなどにあっていない。






「はあ~…おしいなあ」





「ちょっと小百~」




会議室のうしろに立った私たち以外誰もしゃべっていなかった。




張り詰めた緊張感があった。







「失礼します。賛共商事様がいらっしゃいました。」








「失礼します。」





ぞろぞろと割と若い男性社員が並んで入ってきた。






「賛共商事企画部長の飯田です。この度は~…」





部長が今回の企画の主旨などを説明していると 小百が肩をぶつけてきた。





「ん?」






「ねね、どうよ?」




「どうって……みんな若いね?」




「だよねっ…あたしだったらねえ…」






小百が夢中になって顔をみていると どこからか視線を感じた。





うちの部長だった。





なにかのサイン……ん?







「小百!コーヒー!」


「あっ」


私たちはプリントとコーヒーの存在をすっかり忘れていた。






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