ラヴァーズ・インザ・ダストボックス
僕が東京に出て来てから半年後、彼女も仕事を辞めてこっちに出て来た。

迎えに行った東京駅のホームで彼女は、


「逃げ出してしもうた」


そう言って泣き出しそうな表情で笑った――。


あれから数年。

年に何度か電話やメールでお互いの近況を報告してはいたけれど、こんな風にふたりで会うのは初めてだ。

僕は彼女に誘われて、江の島まで向かっている。


金沢シーサイドラインに沿う様にして進み、海の公園を通り過ぎる。

暫くすると、闇に吸い込まれてしまったみたいに海は見えなくなった。
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