ラヴァーズ・インザ・ダストボックス
ふたりで会話していると標準語に方言がいりまじってしまう。


「帰りにさ、八景島にも寄っていく?」


「もういい年だし、あまり無理をしない方が……いひゃい(痛い)」


「どの口が言う?」助手席の彼女が僕の左頬をつねりながら言う。


「じょうひゃんや(冗談や)」


「何言ってるのか解らん」


僕が本当に痛いので勘弁してくれ、という表情をすると、やっと許してくれた。

本気で怒っているわけではない。

彼女はケラケラと笑っている。

今夜の彼女は本当に楽しそうだ。

来て良かったな、と思う。
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