ラヴァーズ・インザ・ダストボックス
校舎の三階から屋上に上がる階段の前には防火用だろうか? 両開きのドアが在り、通常は施錠されているので階段を上がることが出来ない。


ある日、僕は気付いた。

視聴覚準備室の奥にある棚の後ろ、壁との間には不自然なスペース。

そのスペースの先、棚の死角になっている場所にドアが在って、細い通路を抜けると屋上へと到る階段へとつながっていることに。


その日から僕は土曜日の午後、時々屋上へとやってきていた。

階段を上がった先には、鉄製のドアと四畳半くらいの茶室の様な畳の部屋。

ドアを開けると風が出迎えてくれて。

十四歳の僕には、そこが空に一番近い場所だった。
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