この世界は残酷なほど美しい


「蓮!!」



慌てて蓮の部屋のドアを引いた。
すると口をポカンとさせこちらを見る蓮がいた。
部屋着姿の蓮はテレビの前でゲームをしていたよう。
ちらりと画面を見るとやっていたゲームはRPGものだった。
主人公が一瞬僕に見えて何だか笑えてくる。



「何だよ、流星。いきなり入ってくんなよ」



「蓮に話があって…」




「どうせ花音のことだろ?」




蓮はやりかけのゲームをセーブしテレビの電源を切った。
そして乱れたベッドに座り、俺を見る。
広すぎる蓮の部屋は何もないくらいにシンプルで、でも壁に掛けられたコルクボードの花音との写真が部屋の中で一番に輝いていた。




「だから俺には好きな人が出来たって言ってるだろ。花音のことはもういいんだよ」




「じゃあ蓮の好きな人ってどんな人なの?」




「…俺より背が低い人。」




「他は?」




「髪の毛が長い…かな」




「他は?」




「人懐っこくて笑顔が可愛くて…」




「他は?」




「お菓子作りが好きな人。」





蓮…それは花音じゃないか。





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