この世界は残酷なほど美しい


頑張って、頑張って。
もがいて、苦しんで。

僕たちは立派な蝶々になる過程にいた。



「花音が付き合ってるのは蓮なんだぞ?蓮が花音を信じなくちゃ意味ないだろ。蓮は花音の彼氏なんだから。」



「でも花音はいつか俺の傍から居なくなるんじゃないかと思って…。だから好きな人がいるって嘘をついたんだ…」




「時に不安になることは誰にだってあるよ。だけど蓮はちょっと間違えたみたいだね。」




「え?」



「蓮が思っている以上に花音は蓮のことが大好きなんだ」




僕がこう言ってにっこりと笑う。
ぽろりと蓮の瞳からは涙が零れ落ちた。
それはシーツに水玉を描く。



迷ったっていいじゃん。
不安になったっていいじゃん。自分なりの答えを見つけて進むことができたらそれでいい。

蓮は花音のことが大好きなのに、自分から別れを告げてしまった。

でもそれは相手の幸せを心から願えたからできたこと。


やり方は間違っていたかもしれないけど、結果お互いを愛しているのなら関係ないよ。




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